2008年10月23日

妊婦たらい回し報道の悪

 まずは、亡くなられた妊婦さんのご冥福と、ご遺族の方々の無念に思いをはせて。
 そして、マスゴミの悪辣さを告発すべく、エントリをあげさせてもらいます。

 大前提として。
 人間は100%死にます。

 私は、未だかつて、死なない人に会ったことがありません。これは、私の知識と経験がないからでしょうか? それとも、マスゴミの人達は、自分たちは充実した医療を受けることが可能で、死なないと思っているのでしょうか?

 今回ですが、掛かり付けから墨東病院への搬送まで、約1時間20分。これは、短縮することはできるかもしれませんが、限られたリソースを運用している現場としては、努力したと評価できると思います。
 この点が、問題点1。

 次に、7つの病院へ搬送依頼を行い、断られたこと。この点が、問題点2。

 最後に、予後不良で亡くなられたこと。この点が、問題点3。

 こうやって整理して、状況を考えていきましょう。



 最初に、問題点1から。
 掛かり付けの病院に担ぎ込まれ、そこから墨東病院に受け入れをお願いした際に、病院側で対応できないと断ったという部分ですが、1時間20分という時間が長いか短いかですよね。
 例えば、これが20分で搬送されたとしても、そこから麻酔医と脳外科医を招集して、緊急手術となった場合、どれだけ短縮できたのか? という疑問があります。
 実際には、「妊婦」で「脳出血の疑い」の患者を、緊急手術で受け入れることが判断できる病院がどれだけ有るか? を考えれば、1時間20分は短い方だと思います。
 また、ERを標榜する中核病院であっても、産科医が2名体制を取れず、緊急時のオペができないということは、これはもう行政と国民の両方が真剣に考えなければならないことであって、泥仕合をすることが目的であるならば、マスゴミは自らを「ジャーナリスト」と呼んではならないと思います。

 医師を増やすと言っても、大学の定員を増やしても増えるのは10年後ですから、即効性はありません。しかも、経験豊富な医師となると、卒業してから10年くらいの経験が欲しいですから、20年後に増えるという話です。
 なので、今すぐ始めなければならないけど、効果が出るのが遅いのです。
 では、今から増やすにはどうすべきか? ですが、診療科に偏りの有る状況ですし、国家資格ですから、一部の診療科の医師に対して、国家として命令を出すしかないんじゃないでしょうか?
 もちろん、その標的は、自費診療を行っている皮膚科や形成外科、美容外科です。
 極論を言えば、美容形成外科の医師が世の中に存在しなくても、人は死なないのです。自らの美醜を気にして自殺をする人という話もありますが、そういう人のために形成外科という診療科がきちんと存在しています。なにも、高いお金を支払ってまで、自費診療をしなくて済むように、日本の医療は整備されています。
 これらの医師を、今後2年から3年かけて産科医・救急医・小児科医に転換させるのはどうでしょうか? 拒否した場合、医師免許の取り消しを行っても良いですし、他の脳外科や心臓外科などの科目に転換することを認めても良いでしょう。
 少なくとも、今は緊急事態だという認識を、医師も国民も持つ必要があると思います。
 そして、今後10年に関しては、勤務医と看護師の給与を国が設定したり、開業医には収入の国家関与が無い代わりに救急病院での無償勤務を義務付けるなどをして、10年を乗り越えるのはどうでしょうか?
 同時に、家庭医制度を確立し、フリーアクセスや複数受診を制限することで、医師の負担を減らすことも考えるべきでしょう。

 「病院が悪い」「医師が悪い」という以前に、ここまで考えて欲しいと思ってます

 次に、問題点2。
 7つの病院に搬送依頼を行い、断られたという点ですが、天漢日乗さんで取り上げられている事情からすると、断られる前提で電話してませんか? という気がしてなりません。

 首都圏産科崩壊 東京大空襲始まる(その2)江東区産婦死亡事例のカギは「搬送依頼の電話内容」→血腫除去を行う脳内出血の予後は「赤ちゃんを育てられるお母さん」だというマスコミの印象操作は悪辣(天漢日乗)
 http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/10/2-47c5.html

 今朝の『朝ズバッ』でみのもんたが日赤を叩いてましたが、日赤自体も母体胎児集中治療室が満床で、別な妊婦が搬送中という状態からは、受け入れが不能だったと思われます。
 慈恵医大付属青戸病院なんて、高リスク妊婦を受け入れることが無理なのに電話をされて、何で叩かれないといけないのか、迷惑な話だと思います。
 んでもって、これをきちんと認識しないで新聞では「7つの病院でたらい回し」なんていう表現をする。
 これはもう、ヤクザの手口ですよ。いちゃもんの世界じゃないですか。
 その上、奈良の大淀病院の悲劇を取り上げて、わぁわぁ騒ぐ。事実を中立の立場で報道できないのであれば、その旨をきちんと視聴者に明らかにし、自分たちは遺族の立場に立って、医療の世界の限界なんぞ知ったことじゃないと言えばいいじゃないですか。そうしないで、いかにも中立な報道を心がけていますなんて言うから、勘違いする人を大量に生み出し、医療現場を疲弊させるんです。

 最後に、予後不良で亡くなられた問題点3。
 不幸な転帰をたどられたことは残念ですが、脳内出血を起こした人が、どれだけの割合で元気になり、どれだけの割合で以前と変わらない生活が可能で、どれだけの割合で子育てに支障がない範囲だったのか、そこをマスゴミの方々には明らかにして欲しいと思います。
 正直に言えば、以前と同じ生活は無理だと思います
 お産で亡くなる方々を減らそうと、医師が努力してきた日々が連綿と有ったのにもかかわらず、「お産で亡くなる人が0になる」ことを要求するのは、無い物ねだりです。
 勿論、そのために医師や医療の世界は努力をしています。ですが、あたかもお産が安全で、みんなが無事にお産ができて、子供が誰一人障害を持って生まれない世界を夢見ているとすれば、それはユートピア幻想でしかないでしょう。

 ユートピアと言っても、「先生! 」「生徒よ! 」と言って、ゴムぱっちんの芸をする人達では有りません。
 ……今の人達は、お笑いのゆーとぴあなんて知らないか。
 というより、こういうネタを挟まないと、段々辛くなってくる私の芸風が問題なのかな?

 今回の件は、確かに不幸な転帰をたどった例だと思いますが、それをことさら煽り立て、間違った印象操作をするマスゴミに反吐が出ます。
 天漢日乗さんのところが、今後も後追いをされたりするかもしれないので、注目していきたいと思いますが、医療現場で働いている1人として、こういうマスゴミの態度を指弾していく姿勢を維持し、1人でも多くの患者さんに幸せを感じてもらえるよう、頑張って行かねばと考えます。


posted by あずまっち at 08:20| 東京 🌁| Comment(1) | TrackBack(1) | 仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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墨東病院 7病院たらい回し? 報道のあり方
Excerpt: 墨東病院 7病院たらい回し? 報道のあり方
Weblog: 時事問題について@前向きな意見
Tracked: 2008-10-23 18:14
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